2020年も残すところあとわずかとなりました。
昨年の大みそかの記事を見ると、私がいなくなった後も役立ててもらうようにとハープ教本を編纂していたことが書かれていました。今年は武漢ウィルスによって多くの人命が失われ、ハープの生徒さんも若くしてご病気で亡くなられ、死がより身近なものに感じられるようになりました。演奏会やワークショップなどがこれまでのように開催できなくなり、人々の間で修復不可能と思われるような分断が生じてしまいました。このまま音楽文化は永遠に失われてしまうのでしょうか。まるで平行世界に迷い込んでしまったかのような錯覚がします。
最悪の一年だったと嘆く声が多いなか、良かったことにも目を向けたいと思います。まず私自身と家族や友人、ハープの生徒さんが武漢コロナに感染せずに無事に過ごせたことに感謝したいです。京都教室と横浜教室の発表会、渋谷の展示会も無事開催できました。今までやらなかった新しいことに挑戦できました。LINEやYoutubeを使ったオンラインレッスンの開始、zoom を使ったレクチャーコンサート、そしてBASEでのハープ販売も開始しました。楽器をネットで販売するのにはずっと抵抗があったのですが、おおむねご満足いただけているようでよかったです。
今年は33台、累計226台のハープを制作しました。特に200台目となる34弦のハープは新しい挑戦で、カロランの時代に演奏されていた18世紀のモデルを設計、制作しました。G1まで出る楽器で、低音の響きが心地よいです。また、譜面制作のためにまとまった時間も取れたので『初学者のための金属弦ハープ教本』『12弦ハープのための24の曲集』『9弦ハープのための24の曲集』『ロフタス・ジョーンズ』『クロフトン夫人/ジェームズ・クロフトン』『コール夫人』『コンスタンティン・マグワイア』を発表、出版しました。現在、第2巻目となる12弦ハープのための24の曲集を編纂中で、新春までには発表できそうです。また24弦ハープのための曲集も編纂中です。
新しい生徒さんは16名お見えになりました。昨年の66名から比べるとかなり少ないですが、このような状況下で習いに来てくださるのは嬉しいことです。特に遠路福岡からも学びに来られたのは望外の喜びでした。多くの生徒さんが辞めていく中、東京の下町からご高齢の方が毎週熱心に習いに来られていて、緊急事態宣言下ではLINEで受講されていたのには心を動かされました。皆様のハープへの熱情に応えられるよう、これからも誠心誠意、丁寧に指導していきたいと思います。来年は「日本画×アイリッシュ・ハープ展」を京都の余花庵と渋谷のルデコで開催します。会期中、演奏もございますのでぜひお気軽に御来廊ください。
2021年もアイリッシュ・ハープの美しい音の世界をさらに広めていけたらと願っています。今後ともごひいきによろしくお願いします。よいお年をお迎えください。
アイリッシュ・ハープの演奏、レクチャーコンサート、個人レッスン、小型ハープ製作、記事執筆、各種承っております。 お気軽にご相談ください。 queenmaryharp@gmail.com (寺本圭佑)
『浜松市楽器博物館総合案内図録 2020』「アイリッシュ・ハープ」の項目を担当(2020)
・明治学院記念館(小チャペル)音楽礼拝「金属弦アイリッシュ・ハープ独奏」寺本圭佑 (2020/1/8)
・下北沢 カフェデソレイユ「ケルト 古代ギリシャ 古典音楽を旅する演奏会」寺本圭佑、山口亮志(2020/1/26)
・京都 アトリエリンデン「はじめてのアイリッシュ・ハープ」(2020/3/15)
・下北沢 カフェデソレイユ「アイリッシュ・ハープ ギター デュオ」寺本圭佑、山口亮志(2020/3/22)
・zoom によるオンラインレクチャーコンサート「カロラン生誕350年記念企画 カロランの音楽と伝承」CCE Japan 主催、寺本圭佑(2020/6/7)
・京都市北文化会館創造活動室「第4回 カロランアカデミーハープコンサート」(金属弦ハープ京都教室の発表会)(2020/8/16)
・渋谷 ギャラリールデコ「日本画×アイリッシュハープ展 ~ハープは描き、絵は奏で~」中井智子、寺本圭佑(2020/10/6-11)
・zoom レクチャーコンサート「アイリッシュ・ハープ史 ――ケルト音楽の源流」日本アイルランド協会2020年公開講座(関西)(2020/10/17)
・ギャラリー・カフェ 飛ぶ魚「中井智子さんトーク & 寺本圭佑さん アイリッシュ・ハープ演奏会」(2020/11/7)
・大倉山記念館「京都アートサロン 第8回 日本画・絵画教室展」(2020/11/18-23)
・大倉山記念館ホール 第7回「カロランアカデミー コンサート」(アイリッシュ・ハープ横浜教室発表会)(2020/11/22)